片山氏の自衛隊改革
中央公論(平成17年1月号)から、財務省防衛担当主計官(片山さつき氏)が、今回の自衛隊削減問題に対する持論の「自衛隊も構造改革が必要だ」を読んで見た。「財務担当主計官から警鐘」と題されるその内容は、当然だとは思うが、漏れ聞こえた財務省の意見を肯定するものであった。全体的に感情の現れとも思える表現が多く、問題の焦点を、自らの持論に持ち込もうとされる部分が多く、読んでいて非常に疲れた。
自衛隊削減の根拠とされるものに、中国シンパの「安保・防衛懇談会」の答申を持ち出したり、欧米の軍事組織の削減比較であり、このような比較論では、自衛隊の単純な削減は出来ないと思う。自衛隊を他国と比較した場合、元々が自衛隊の兵力は少なく、正規軍以外の軍事組織は、日本国には殆どなく、単純に比較することで、財務省は、数字の本質を見誤っており、これでは反対が出ても当然だと思う。さらに言うなら、他国の軍隊は、海上や航空の兵力にも、陸上戦闘部隊が含まれており、単純な比較は出来ないと思う。
これらに反対する制服組の意見は、全てシビリアンコントロール逸脱などのという片山氏の言い分にはビックリした。(・・;)
<参考リンク>
●平成8年防衛庁防衛大綱
●平成17年度以降に係る防衛計画の大綱について
簡単に中央公論(2005年1月号)を読んだものをまとめてみた。読まれていない方は、実際に読んで頂きたいと思う。これ以外にも、まだまだ色々な雑多過ぎる問題点に、気付く点があると思う。論文としては、倫理性に欠け、読んでいると、「ほとほと」疲れるので、リラックスした状態で読まないと随所で引っかかってしまう。(-_-;)今度の中央公論の記事には、「昭和の戦争とメディアの責任」と題された他にも、憲法に対する政治やその他官僚の思惑など、読んでおくべき記事が掲載されており、今回の騒動の本質もかいま見えてくる。
<現政権の新たな防衛大綱>
・弾道弾ミサイル防衛(BMD)導入をする。
・自衛隊の既存の組織の装備等の抜本的な見通し効率化を計る。
・現行より防衛関係費を抑制していく。
・防衛費総額の限度を定める。
・平成16年(2004)年度末までに策定する。
<現在の防衛力の問題点>
・他の先進諸国に比べ軍事革命(RMA)が目立って遅れている。
・基本方針である公的部門の効率化を含む構造改革の流れが必要である。
<財務省片山氏の言い分>
・危機的な財政事情なので経費圧縮を図る必要がある。
・我々一般の国家公務員は、36万人で2001年から5パーセントも削減した。
・一般国家公務員は、今後5年間で10パーセント(3万6千人)削減する。
・特別職国家公務員の自衛隊員も我々と同じように削減するべきだ。(現在25万人)
・主要先進諸国は、正規軍の人数は、50~60%削減している。
・先進国では、陸上は戦車は、(50~60%)削減している
・先進国では、海上兵力は、(トンベース:15~20%)削減している。
・先進国では、航空兵力は、(15~50%)を削減している。
・重要拠点防護対する自治体や警察との連携・調整が全く進んでいない。
・陸上自衛隊は保守的でRMAに消極的である。
※片山氏の意見では、この先進国には中国も含まれる。
抵抗勢力の以下の動きがあった
・道路公団や郵政の民営化問題と同様の騒ぎになった。「公務員のリストラ反対闘争だ」
・構造改革により地方が、切り捨てとの思惑からマッチポンプ的な煽りがあった。
・防衛庁内局の掌握を振り切り、制服組の現場が勝手に動いた。
・シビリアンコントロールを無視した動きだった。
防衛庁の抵抗
・災害対応やテロ対策に必要なマンパワーの削減を拒んだ。
反対の根拠
・テロ対策に全国124箇所の重要施設の保護。
・上陸したゲリラコマンド部隊の撃破に現有兵力が必要。(16万2千人)
・周辺にまだ危険な国がある。
・防衛庁内局は自衛隊を管理できない。(掌握していない為)
財務省の理解する大綱の詳細部
<想定の基本>
・日本国に対しての大規模部隊の上陸は無いか、または低い。
・脅威は「国際テロ・大量破壊兵器・弾道弾ミサイル」である。
・この想定は「安保・防衛懇談会」により断定されている。
※脅威国は北朝鮮のみである。(中国を想定していない)
<現有能力の削減>
・陸上自衛隊を4万人削減する。
・戦車、火砲、対戦車ヘリの削減。
・北海道に4つも師団を置くのは多すぎる。(行政要員でではないか)
・護衛艦、対潜哨戒機の削減。
・航空作戦用の戦闘機の削減。
<新たに自衛隊の必要な能力>
・情報収集分析能力の「強化・高度化」による能力の向上。
・陸上部隊の中央即応集団の創設が必要である。
・部隊の多機能で弾力的な運用が必要である。
・陸海空の縦割りをなくし、目的別にした部隊再編が必要である。
<制服組みの抵抗>
・制服組は、「BMDの導入は、我々の意見を聞かずに行われている」と言っている。
制服組の反対意見である上記をもって、国防族の大物議員も、自衛隊の「関東軍化」と称している。(・・;)「おいおい」時代錯誤も甚だしいのではないだろうか。
シビリアンコントロールを、反対意見を言わないことの対比に持ち出しているようにも思え、自分達の意見が、簡単に通らなかったことへの憤りを表す言葉として使っているようだ。
また、外野のマスコミや民衆の色々な意見などをは、風説を流布されたや自衛官が扇動した動きから、反対意見等が出たなどとしており、それらを他の地方自治体の若い首長が言ったとして「マッチポンプ」と称するかと思えば、福田元首相の奥様との私的な会話を持ち出し、昭和の2・26事件の軍部の台頭に準え「主計官は軍部に対する最後の砦」と前時代的な発想の表れを根拠とするなど、感情的な部分での反論が目立つように思う。
そうであるなら、自衛官が中央公論に、反対の意見を寄稿するれば、シビリアンコントロールの逸脱と、この御仁は罵るに違いないと思う。自分は公務員でありながら、何故に寄稿できるのだろうか。不思議な公務員である。
非常に気になる点は、片山氏が今後のポイントとして上げられている「官邸の安全保障会議の強化」を叫ばれている点である。防衛を司る官庁である防衛庁の上に、さらに安全保障会議なる別の組織を、持ってくるつもりであろうか。
現在、この防衛に盛んに影響を与えようと目録でいる組織は官邸監房で、先に中国侵犯潜水艦事件で失態を演じた部署である。そこに防衛の全権を、委譲したほうが良いとでも思っているのであろうか。
それとも警察官僚等(一般国家公務員)による国の統治を、目論んでいるのだろうか。非常に危険な思想だと思う。国民は、警察国家などは絶対に許さないと思う。
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コメント
はじめまして
T/Bありがとうございます。
中央公論の当該記事については寡聞にして知らなかったのですが、ここにまとめていただいているものを見る限り、ため息ですね。^^;)
私もこんど目を通してみようと思います。
元空自なんですね。ペトリ整備でしょうか、ご年齢からすると微妙にナイキでしょうか。^^)
今後とも宜しくお願いいたします。
投稿: Shu UETA | 2004.12.13 16:21
Shu UETAさん コメントありがとうございます
お察しのとうりナイキです。一昔前ですね。早いのです月日の経つのは。(^_^;)今後とよろいしくお願いします。
投稿: バック | 2004.12.13 22:13
TBありがとうございました。
詳細な考察、お見事の一言です。
日本でももう少し国防論議が活発になれば状況も変わるんでしょうが。
国民の意識から変えていかないとどうにもならない気がします。
今後ともよろしくお願いします。
投稿: 剛田ジャイ雄 | 2004.12.13 23:36
剛田ジャイ雄さん こんにちは こちらこそよろしく
>国民の意識から変えていかないとどうにもならない気がします。
おしゃるとおりだと思います。少しでも国民が関心を示せば、政府も下手なことは出来ないと思います。
今回の大綱は無理強いですから、財務省はミクロ的な視点での追求に必死さが伝わります。対する防衛庁はマクロ的な視点での対応ですから、かみ合うわけがありませんね。
投稿: バック | 2004.12.14 17:09